【番外編】眠らない星《完》

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「苦しいだけじゃないんだって。苦しいのに慣れたら、いっぱい気持ちよくしてよ」  冗談めかして言ったら、泰輔ではなく中にある分身が元気に返事をした。 「ン……バカ、でかくすんな」  あまりに泰輔が素直に反応するので、少し笑ってしまった。 「……もういいよ」  しばらく経って、軽いキスとともにゴーサインを出すと、泰輔はゆっくり動き始めた。  最初は気を遣ってもどかしいくらいだったのに、俺が徐々に後ろでの愉悦を強く感じて反応を見せると、泰輔にも段々遠慮がなくなっていった。 「ぁ、……ゃば……そこ……」 「……ここ、か?」 「ゥあッ……ん、ぅ、ン!」  教えた場所を繰り返し突かれて、思わず軽くイッてしまった時、泰輔のすでに危うかった理性が切れた気がする。 「佑……佑輝……っ」  それまで溜め込んでいた気持ちや欲求をぶちまけるように、泰輔は夢中で俺を求めた。何度も体勢を変えて追い上げられ、俺はついていくのがやっとだった。  言葉もほとんどなく、荒い息遣いで腰を揺さぶる行為は、どこか獣じみていた。  肌を伝う体液は、自分のものか泰輔のものか、とっくにわからなくなった。  泰輔の律動が激しすぎて、俺と同じタイミングでベッドのスプリングが悲鳴を上げる。せっかくいいマットレスのはずなのに壊れるぞと、遠くなる意識の中で場違いなことを考えた。 「佑輝……好きだ、好き……」  完全に落ちる瞬間、乱れた呼吸の合間に繰り返された告白を聞きながら、俺はもう何度目か覚えていない絶頂へと駆け上がった。
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