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「すまない……ゆうべは本当に、その……理性を失ってしまった。身勝手な行為の数々を……」
泰輔は本気で狼狽えて、顔色も赤から青に変わる。
「いや、嫌とかひとことも言ってないし」
俺のその一言に、泰輔は動きを止めて、顔色が再び逆転した。
「さ、朝飯の支度すっか」
キッチンへ向かおうとすると、我に返った泰輔が俺を留める。
「いや、佑は休んでいてくれ。今日は俺が用意するから」
「休んでられるか。俺だってもっと知識も技術も磨いて、泰輔にもっといいパフォーマンスさせてやるって気合い入ってんだからな」
「佑輝……」
「朝飯もいっぱい食べて育んでくれよ、揺るぎない筋肉」
「……その話はもう勘弁してくれ」
居たたまれず目元を覆って唸る泰輔を残して、俺はキッチンへと向かったのだった。
【END】
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