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持参したエコバッグやナイロン袋に食材を小分けし、分担して持つ。ビールケース担当はジャンケンで選ぶことになり、俺はすんでのところで回避した。
ショッピングモールを出て十分も歩くと、駅周辺の賑やかさとは無縁の閑静な住宅街になる。
「えーと、そこの角左であとはまっすぐっぽいな」
スマホを覗き込んで地図アプリを確認すると、目的地までは残り二分だと表示されていた。
「いやー、楽しみっスね! 泰輔さんち」
黒毛和牛が入った袋をぶらぶらしながら、和田が浮かれたように言った。
「こら、でっけぇ声で名前言うなって。近所バレしたらやべぇだろ。有名人なんだから」
「バッカ、お前も声でかいって」
仲間の騒がしいやり取りを聞きながら、少し後ろをついて歩く。すると俺に歩調を合わせて隣に下田が寄ってきた。
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