【After Story】残照

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◆ ◆ ◆  泰輔の自宅はシンプルで落ち着いた佇まいの五階建てのマンションだった。エントランスで部屋番号を押すと、泰輔の同居人である青山佑輝が出て、すぐに解錠してくれた。綺麗な玄関ホールを集団できょろきょろと見回しながら進み、二組に分かれてエレベーターに乗った。 「お、いらっしゃい。あいつまだ帰ってないけど」  出迎えてくれた佑輝は、料理中だったのかブラックジーンズとグレーのパーカーの上にネイビーの無地のエプロンをつけていた。  玄関は十分な面積があったけど、でかい男の靴が十足近く並ぶと、なかなかの圧迫感だった。 「ひょー、ひっろ! さすがは三億の男」 「うぉ、筋トレマシンあんじゃん!」  廊下を抜けると広々とした開放感のあるリビンに出る。バルコニーへ続く大きな窓からの景色に一同は興奮の声を上げた。ほとんどが買ってきた食材をさっさとダイニングのテーブルに置いて、さっそく探索を始めてしまう。
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