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「和田、家探ししてる奴ら回収して皿とかコンロとか準備させといて」
「はーい、了解っス」
敬礼のポーズをして、和田がリビングへ向かう。
「草壁は野菜切んの手伝って」
空になった段ボールを潰しながらぼんやり佑輝を見ていたら、反応が遅れた。
「草壁?」
「へ? あ、なに?」
「野菜、切んの手伝ってって」
「あー、おお」
今日のメニューは鍋だけど、佑輝は他に何品かつまみを作ってくれるらしい。手馴れた様子で調理する佑輝の隣で、白菜を洗いざくざくと切っていく。
仲間を呼びに行った和田は一緒になって探索しているのか、まだ戻ってこない。
「あのさ、佑」
「んー?」
ずっと胸の中に引っかかっていた言葉を勢いで告げようとして、だけど佑輝と目が合った瞬間慌ててそれを飲み込む。
「……あーっと、すりおろし器ってどこ? このあと大根おろそうかと思って」
まだ白菜を切り始めたところなのに、不自然だったかもしれない。だけど佑輝は特に気にすることなく、「そこにフードプロセッサーあるから、皮向いて突っ込んで」と教えてくれた。
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