【After Story】残照

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◆ ◆ ◆  ちょうど鍋の準備が終わった午後四時頃、狙いすましたかのように家の主が帰宅した。朝から自主トレと雑誌の取材をこなしてきたというスポーツウェア姿の泰輔は、リビングに足を踏み入れるなり、記者に扮した下田たちに囲まれた。 「すみませーん、朝倉選手、一言よろしいでしょうか」 「川崎アナとはどういったご関係ですかー?」 「とても仲がよろしいようですが、お付き合いされてるんでしょうか?」  拳で作ったエアマイクを方々から突き出されて、泰輔は「やめろ」とそれを振り払う。 「あれはガセネタで、どういう関係も何もない」  迷惑そうな顔で息を吐く泰輔にも、男たちは引き下がる様子を見せない。 「じゃあなんで深夜のツーショ写真が存在してんだよ」  突撃取材ごっこにはもう飽きたようだ。 「複数でいたところを撮られて切り取られただけだ」 「夜中に一緒にいたのは事実なんじゃねえか!」 「仕事のあと関係者と食事をしただけで、すぐに解散した。プライベートの連絡先も知らない」
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