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「なんか、草壁変わったよな」
「え?」
「もうすぐパパになるからかな。前だったら、先陣切って泰輔に突っ込んでたろ、まゆりんの話とか」
確かにそうかもしれない。今だって気にならないわけじゃない。ただそれよりも、もっと気がかりなことがあるだけだ。
「変わったのは……佑輝の方だろ」
ここ何年も自分の中で引っかかっているものがある。
もう「それ」には触れない方がいいのだと、時間が解決してくれるものだと思って、考えないようにしていた。だけど多少薄れはしても、端の方でズクズクと疼き続けて、決して消えはしない。
「俺はさ、……佑と泰輔に、憧れみたいなものを持ってんだよな。学生の時から」
訊きたいことならはっきりしてるのに、どこからどう尋ねれば正解なのかがわからない。わからない、というよりも怖いのかもしれない。だけど本題から遠いところから話し始めたのは、躊躇いがあるからだけじゃない。佑輝にちゃんと伝えたいと思ったからだ。
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