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佑輝に会いに行く直前、まだ躊躇っていた泰輔を捕まえて、飲みに連れ出した。泰輔はプロ入りしてからほとんど酒を飲まなくなっていた。だけど、シーズンオフに入ったところだったし、結婚が決まってから初めて会うということもあり、「今夜はとことん飲む」と宣言した俺に付き合ってくれた。
飲み始めて二時間近く経つ頃には目が据わり、いつも以上に言葉数が少なくなる。泰輔は結構強い方だったはずだけど、飲まない生活で弱くなったのかもしれない。
「泰輔だってさ、会いたいって言ったじゃん、佑に。だったら普通に会いにいけばいいだろ」
控えめのBGMが流れる居酒屋の個室で、もう何度繰り返したかわからない言葉を告げる。
「佑輝は、会いたくないはずだ」
「だーからー、佑がいいって言ってるんだって」
強かに酔ってもなお、泰輔の返事は変わらない。
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