【After Story】残照

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 自分の中で薄れて、ほとんど感じなくなっていた違和感が再び自己主張を始めたのは、いつものメンバーでの飲み会で、来月から佑輝がこっちに戻ってきて、泰輔の部屋に住むと聞いた時だった。 「これから専門行って、トレーナーの勉強するとか根性あるよな」 「佑さんは昔から根性の人じゃないスか!」 「失踪して、泰輔すら連絡先わかんねぇって聞いた時はマジかよって思ったけど、結局モトサヤっつーか、相変わらずのニコイチっぷりってことだよな」 「あん時はなんか色々あったんだろ、確か結婚考えてた彼女と別れたとか。まあ、失踪したくなる気持ちもわかる」 「そういえば、この間久々に会った時に思ったけど、ちょい雰囲気変わったよな、佑輝。なんつーの、悟り開いた感?」 「悟りって、お前」  佑輝と泰輔の間に溝ができた原因は、結局わからないままだった。触れないようにしようとは決めたけど、まったく気にならないわけではない。
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