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「いいのか?」
俺に気を遣ったのではないかと、店の入り口を指差して確認したら、佑輝は苦笑して首を横に振った。
「だってあいつら、ウチで泰輔帰って来んの待つとか言い出しかねないし」
あのテンションで来られたら確実に近所迷惑、と顔をしかめる佑輝に、「確かに」と笑う。
駅までの道を二人で歩き出しながら、俺はさりげなく佑輝を見た。
なんつーか、悟りを開いた感。
前に仲間の誰かが言っていた言葉を思い出す。
なんとなくわかる気がした。前はなかった、見透かすような目をする時がある。
出会った時は十代で、今はもう三十で。だから佑輝に限らず、雰囲気が変わるのは当たり前のことだ。俺だって落ち着いたと言われる。
だけどなんだろう、佑輝はやっぱり何かが変わったと思う。
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