【After Story】残照

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 佑輝にはピッチャーらしい我の強さがあった。わがままとか、目立ちたがりとは少し違う。自分の意見を押し通す強さとか頑固さだ。理想やプライドが高いところがあって、仲間とずれることがあったけど、それをうまく補って繋げるのが泰輔の役目だった。  ブランクを経て再会した佑輝が穏やかに見えたのは、そういう部分がほとんどと言っていいくらい、なくなっていたからかもしれない。  佑輝はあの時、仕事や環境、仲間を捨て置いていった。でも、それだけじゃなくて、それまでの自分すらも捨てていったんだと唐突に気付いた。  自分を捨てたくなるのは、いったいどんな気分なのか、俺には想像もつかない。 「さむっ、冷えてきたな」  ひやりとした空気が衣服の隙間から入り込んできて、佑輝が呟く。 「そうだな」  体温と一緒に、さっきまであった酔いも興奮も冷めていた。
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