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「へえ、めずらし」
一緒に暮らしてすぐの頃、プロ入りしてからはほとんど酒を飲まなくなったという泰輔に、禁酒はつらくはないかと尋ねたことがあった。すると泰輔は、「別に無理して我慢しているわけじゃない」と答えた。
プレーで結果を出すことを一番の目標に据えた時、それを妨げるものは自然と欲しくなくなるのだという。
飲まなくなった泰輔の前で、一人夕食時や風呂上りにグビグビ飲むのははばかられていたが、「まれに飲んだら美味いとは思うけど、日常的に欲しいとは思わなくなったな」という言葉を聞いてからは、遠慮なくやらせてもらっていた。
だからこの大量の酒たちは、すべて俺の晩酌に消化されていくだけだと思っていたのに。
俺はさっきと同じように泰輔の背後から冷蔵庫の中を覗き込み、レモンサワーを指名する。泰輔はそれを二本取り出して、冷蔵庫を閉めた。
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