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「泰輔?」
呼びかけると俺を見ないまま少し俯いた。
そこでようやく、泰輔の様子がおかしいのは、例のまゆりんとの報道関係かもしれないと思い至る。
「そんなに嫌だったのか? 今日まゆりんのこといじられまくったの」
「そうじゃない」
そう言ってまた黙り込んだあと、泰輔は覚悟を決めたように短く息を吐き出す。
「え、じゃあもしかして、本当はまゆりんと付き合ってる、とか言う?」
思い詰めたような泰輔の表情に、思わず口がすべる。
「そんなわけないだろう」
めずらしく少し苛立ったように大きな声を出した泰輔に、びっくりして一瞬時が止まる。泰輔はそんな俺に気付いて、「悪い」とすぐに謝った。
そして、今度は少し長めの息を吐き出すと、再び口を開く。
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