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「感情を、うまく処理できなくてすまない」
一つひとつ言葉を探すように泰輔が言った。
なんのことかがわからなくて、黙ってその続きを待つ。
「週刊誌の記事を冷やかしてきた同僚に、あれは事実じゃないと言ったら、でも満更じゃないんだろうと言われた。彼女と噂になって嫌な気分になるわけがないって」
そう思うのも仕方がないだろうと思った。今日散々泰輔を追及していた連中も、同じようなことを言っていた。
「佑輝にそんな風に疑われるかもしれないと考えたら、怖くなった」
「え?」
「……少しでも、気持ちが動いたんじゃないかと、噂にされて喜んでいると思われたくなかった」
泰輔に言われて、報道があった夜の出来事を思い出した。
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