426人が本棚に入れています
本棚に追加
/233ページ
「わかってる、これは俺の勝手な感情だ。佑輝はそのままでいい。俺のどうしようもない気持ちに、ほんの少しでも応えてくれて……それだけで十分なんだ」
いや、全然わかってもいないし、よくもないだろ。
反射的に出掛けた言葉を寸前で飲み込んだのは、反省の念があったからだ。泰輔がそんな風に思うのは、きっと自分の態度にも一因がある。
代わりに溜息を一つこぼして、ぽつりと呟く。
「うん、まあ、とにかく塩反応の理由はわかった」
泰輔は不満があったわけではなく、不安を溜め込んで緊張していたのだろう。確かめたいけどできなくて、全部の言葉を押し込めていた。今だって、口にしたことを後悔しているのがありありと分かる。
「週刊誌見て別になんとも思わなかったのは、単に泰輔が俺以外に興味ないのをよく知ってるからだよ」
手の中の缶ばかり見ていた泰輔が、ようやく俺の方を向いた。
最初のコメントを投稿しよう!