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「うん、まあいいや」
どちらにしろ泰輔が泰輔なので、結果は変わらない。
「え?」
俺の独り言に過敏に反応する泰輔の表情は、まだ少し強張っている。
何百万、もしかしたら何千万人が行方を見守る大舞台でも、冷静さを保ち平然としていた男のくせに。
頼りない目を見ていると、なんだかなぁという気持ちになる。
「大体、大して興味ない人間と一緒に住むかよ」
呆れた風に言ったら、泰輔は少し間を置いてから「そうか」と呟いた。噛み締めるように「そうだな」と再び言ったあと、口元を綻ばせる。
「っていうか、夜ごと俺にあんな恥ずかしい格好させといて、よくそんなネガれるな」
夜ごとはさすがに盛りすぎだけど、お互いの色んなタイミングが合った日なんかは、割と濃い目の夜を過ごしていると思う。泰輔は屁でもないだろうけど、俺はいつも翌日筋肉痛だ。
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