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「なあ、泰輔」
「なんだ?」
普段、感情が顔に出にくいタイプなのに、振り向いた表情からは上機嫌なのが丸わかりだった。
それを見ていると、やっぱり可愛いなと思う。そして――。
「好きだよ」
泰輔の顔が、微笑のままで固まる。
数秒後、固まっていた微笑が消えたと思ったら、目に見えてわかるほど耳も顔も赤く染まった。
「な、……と……」
口を開いて何かを言いかけては、すぐに閉ざす。結局一語も紡げないまま沈黙した。
ここまで動揺した泰輔は初めてで、ちょっと笑ってしまった。
なんでそんなこと突然、とかだろうか?
泰輔が言いかけた言葉を想像していたら、当人が口元を手で押さえて、深く長い息を吐き出した。
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