【After Story】残照

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 内壁の感触を味わっているような吐息をこぼしたあと、泰輔は俺の上衣を脱がせに掛かった。  裸になった俺の腰や背に腕を回して強く抱きしめながら、泰輔が下から突き上げてくる。 「佑輝……好きだ、……好き」  あふれて止まらない気持ちを吐き出すみたい、泰輔はそれを繰り返した。  与えられる快感も、縋りついてくるような腕も、何度も伝えられる言葉も……鬱陶しいと思うどころか、すべてが心地良いと感じている自分がいる。  ――ああ、なんかもう、仕方ないよな。  そして、俺を求めて見上げてくる泰輔の瞳が、あまりに切実で、どうしようもなく可愛いと思ってしまったから。 「もう当分は言わないと思うから、今度はちゃんと聞いとけよ」  抱き締められるのと同じ力で抱き返して、泰輔の耳に唇を付ける。 『売り切れ』にしていた言葉を囁いたら、泰輔は予告もなしにイってしまったのだった。 【END】
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