431人が本棚に入れています
本棚に追加
「いやいや充分すげえって。つーか指名されるってことがすげえ訳だよ。もっと言っちまえばドラフト候補に入ることがすげえ!」
「おい、おめえら! サインや写真をゲットしとくなら今だぞ! サイン一枚五百円! 写真撮影は一回千円だ!」
乾杯の音頭をとった草壁が再び立ち上がり、人差し指を天井に突き上げた。「ワンナウト」の仕草だ。
「金取んのかよ! つーかなんで草壁が仕切ってんだよ」
「俺はキミらと違って、現・チームメイトだからな! コーチからもよろしくって頼まれてんだよ」
適当を言う草壁に、一同が「うそつけ!」と異議を唱える。その光景を見つめて笑っていると、不意に横からとん、と肩を叩かれた。
「佑、幹事ありがとな」
騒がしい室内でちゃんと声が聞こえるように、俺の耳元に顔を寄せた泰輔が礼を告げた。
「結局草壁が仕切ってくれてるけど」
苦笑をこぼすと泰輔も同じように笑った。
「そもそも礼なんていらないし。泰輔の祝いの席を俺がお膳立てしなくて誰がするんだよ」
少し拗ねた風に言ったら、泰輔は嬉しそうに頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!