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「ちょっとぉ。ハクから聞いたんだけど」
翌日放課後。学校内の図書館にて。
参考書を広げるセイの前に立つ、女子の制服を纏った人影。
セイは相手を見ることなく、参考書に集中している。
相手も特に気にした様子もなく、向かいの椅子に座った。
「ボクの事、可愛くないって完全否定……どういうこと?」
「……図書館は、お静かにお願いします」
「う……そこは謝る。ゴメン」
顔をあげると、長いセイの前髪の向こうに、しゅんとした顔のSYUKAこと、小早川朱夏がいた。
「……今日も仕事じゃ、なかったんだ」
淡々と喋るセイに対し、自分に興味を持ってもらえたと感じた朱夏は、先ほどまでの不機嫌さはどこへやら、パァっと表情を輝かせ、ニコニコと笑う。
「ドラマの合間の補習だよん。……いやー、しっかり絞られたし、これからもう一時間ほど絞られる予定」
だろうな……ため息とともに、鞄の中から、数冊のファイルを投げるように渡す。
「サンキュ! セイ! 愛してる!」
「……復習のついでだ。あと、何度も言うが静かにしろ!」
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