偶像

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 カメラのファインダー越しに、『地味な子ども(ガキ)』だと男は思った。  うっとおしいほど長い前髪と、ダサい黒縁眼鏡。  私立校故に、校則に縛られず許されているのか、男のクセに肩より少し長い髪を、無造作に一つに結んでいる。  何故、SYUKA(アイドル)が、そこまで好意を寄せているのか、理解でき(わから)ない。  制服姿(学ラン)に、背にはバックパック、右肩に竹刀の入った袋を背負い、紙袋を下げてコンビニから出てくる少年に、男は声をかけた。 「どちらさま、でしょうか?」  街灯があるとはいえ、薄暗い夜道──困惑しつつも、落ち着いた返事が返ってくる。  そんな少年──セイに、男は名刺を渡した。 「スポーツ紙……の、方ですか」  何の、御用でしょう? 警戒するような少年に、男は単刀直入に尋ねる。 「君、SYUKA(シュカ)と、どういう関係?」 「……は?」  思わず、少年があんぐりと口をあけた。  うーんと、腕を組み、彼はゆっくりと、言葉を選ぶ。 「あー……そうですね。オレから言えることは、一言……」  困ったようにため息を吐き、そして──。     
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