第17章 ニセモノの恋人

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奴が手慣れた様子ですかさずスカートをたくし上げていきなり下着に手を入れてくるのを感じながら焦りつつ考える。あれはそういう意味じゃないし。最中の写真なんか残しておいてそんなもので自分を慰めるより、したい時にはいつでも実際にすればいいじゃんって説得しようとしただけだから。 『いつでも』のところを変に拡大解釈されても。困るんだけど…。 「あ、ん…っ、」 彼の指が確かめるように割れ目をなぞる。例によって既にそこは待ちわびたみたいに温かく濡れて開ききって息づいていた。松葉くんが興奮して身体の前を食い込ませるように擦りつけてくる。弾む呼吸に紛れて耳許で囁いた。 「ほんとにお前、いつでも百パーセントここ濡らしてるな。二十四時間常に発情して男求めてんの?こんなんじゃ誰かに迫られたら断れないでやらせちゃうんじゃないか。こんな見境のない助平な身体、…お仕置きが必要だよな」 指が乱暴に付け根までぐっ、と押し込まれてきた。会社でこんな。 怒らなきゃいけないのに。へんな間違った反応しか出てこない。人指し指を中で回され、親指で蕾を捏ねられて抑えきれず腰が動く。 「あっ、だめ。…こんなとこで、あぁ…」 スピードに難のあるエレベーターだけど、それでもこんなことしてる余裕なんかあるはずもない。わたしは切ない喘ぎを押し殺して何とか彼から身を離そうとする。 「ね、誰か。絶対乗ってくる、から。見られたら、こんなの。…あぁ、んんっ、」     
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