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「待てよ、ちゃんと話最後まで聞けって。あのさ、別にだからって俺たちが別れる理由にはならないじゃん?そういうことを言いに来たんじゃないよ。…ただ、付き合い始めの微妙な時期だからさ。しばらく二人で会うのは間置かないといけないかもなんだけど。ほら、やっぱ変な風に向こうの耳に入って心配させたくないじゃん。…でも、これは今だけのことだからさ」
わたしは半端なく眉をひそめた。こいつの言ってることがよくわからない。…今だけのこと、って。何でよ?
「どういうこと?その子と終わるまでわたしに待ってろっていうの、何年もずっと?」
いくら何でもそんな義理ないよ。そこまであんたじゃなきゃいけないわけでもないし。そう憤然と言い返しそうになったけど、向こうが真面目な顔で切り返してきた台詞にわたしは言葉を失った。
「そうじゃなくて。…だって、何で俺に彼女ができたからって、俺と桃がいちいち別れる必要があるんだよ?全然関係ないだろ、そこは。彼女は彼女。桃はそれとは別だろ」
思わず眉間に皺が寄る。…別って。なんで?
奴は真剣な、縋るような顔つきでわたしの目を覗き込んで熱心に言い募った。
「だって。俺と桃は…、もともとそういうんじゃないし。だいいち、俺たちセフレだろ。身体だけの関係なんだから、そもそも。…恋人とか彼氏彼女とか。そういう約束事とは全然別ものだろ?」
わたしは掴まれている手を振り払うことも忘れてた。浮きかけた腰を下ろし、わけもわからずぼうっと訊き返す。
「…そうなの?」
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