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「だって。別に好きとか付き合って下さいとかで始まったわけじゃないじゃん。だから、そういうのとは別な最初から割り切った自由な関係だろ、俺たちって。ほかに好きな相手がいたって全然バッティングしないよ。身体が誰より合うから一緒にいたわけでさ。それとも桃、俺のこと好きだった?恋愛感情とかあったの、実は?」
わたしはふらふらと首を横に振った。
「…ない」
松葉くんはその答えに特に気を悪くした風もなく平然と続けた。
「そしたら、俺に彼女ができたくらいで。わざわざ別れる必要なくない?大体勿体ないよ、こんなに合う相手なんか。お互いそうそう出会えないよ?なあ、考えてみればさ。愛だの恋だのよりこっちの方が全然。よくない?」
わたしの片手を握ったまま熱を込めて身を乗り出す。
「だって、俺が誰を好きでも関係なくずっと二人で続けられるんだよ。なまじ恋愛関係だとちょっとしたことで拗れたり別れたりになりがちだけど。そもそもそういう気持ちはないから最初から薄れることもない。余計な要素なくお互い気持ちいいことだけに集中できるし、曖昧な不透明なこともないだろ?」
一挙に説明したら気持ちが落ち着いたのか、ひと息に残りのコーヒーを飲み干す。
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