第18章 スイーツは別腹

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あの子ともう会わない、ってことに関しては別にそれほどつらいとは思わない。あんなこと言われてそのまま素直に待ってるほどお人好しじゃない。話をされたその日のうちに速攻で黙ってLINEのIDもプライベートのメールのアドレスもブロックして削除した。何かの形で個人的な接触があってももう応じる気はない。 あいつとは終わった。そのことに後悔はしてない。だったら、何がわたしの胸を重くどんよりと蓋がせているんだろう。 身体だけ、って言われたこと。でもそれは仕方ないのかも。はっきりお互い口に出して確認したことはなかったけど、確かにわたしたちは実質的にはセフレだったんだと思う。好き、ってどっちも言ったことはなかった。何か約束を交わしたこともない。 だけど。それより何よりわたしを落ち込ませたのは多分、向こうに好きな人ができてもわたしとは競合しない。それとは別にこのまま関係を続けられる、って言われたこと。 ひとりの部屋に帰って冷たいベッドに服を着たまま横になり、まんじりともしない目を見開いて暗闇を見つめながら考えた。 彼にとってわたしの存在は、好きになった女の人と全然重なるところがない。だからそういう人を心に住まわせても邪魔になるわけじゃない。普通ならセフレだったとしても、彼女ができたらもう要らないってなるはず。特別な女性がいれば別の女は必要ない。抱いてる気持ちが違っていても存在がだぶるから。     
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