521人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょうどイベントに当たってよかったね」
「はい」
暗くて足元がよく見えずにいると、彼が手を繋いでくれた。
那須の滞在中、私たちはごく自然に手を繋ぐようになっていた。
この魔法は今だけのものだろうか。
「明日は東京に帰るんですね」
ここに住んでしまいたいぐらいだけど、そういう訳にもいかない。
「那須ならいつでも来られるよ。次は結衣の運転かな」
「無理だと思ってますよね? 私、練習頑張りますから」
「車両保険は必須だな」
「たぶん保険屋さん泣かせになります」
冗談を言いながら礼拝堂に入る。
夜の礼拝堂は神秘的で、途端に厳粛な気分になった。
最初のコメントを投稿しよう!