目隠しの愛ー4

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礼拝堂のアイボリーの壁に贅沢に配されたステンドグラスの数々は、息を飲むほど荘厳で美しい。 モチーフになっているのは花々だけでなく、天使や聖書の世界だ。 「綺麗……。こんな芸術を生みだした文化に敬意を抱きますね」 ひときわ大きなステンドグラスの前で足を止める。 「宗教を超えて、美しいと思うよね」 「私は海外に行ったことがないから、ヨーロッパの宗教芸術はテレビや本でしか知らないんです。だから余計に感動してしまいます。普通の人より」 感激してばかりの自分が少し恥ずかしい。 「夏目のお義父さんは、なぜ結衣を海外に出さなかったんだろう」 「私が自我を持つことを恐れたのかもしれません。私、すぐ感化される性質だから。世界を飛び回るキャリアガールになりたいとかアートを学びたいとか、そういう夢を持ってほしくなかったんだと思います」
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