裏切りの予感ー1

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「ノーコメント」 私の顔を眺め、宏樹さんは笑いながら言った。 彼からこれ以上何かを聞くのは無理だ。 私は口を尖らせた。 「宏樹さんは会社から離れてるのに、どうしてそんなに色々知ってるんですか?」 「俺、経営センスはないけど、人脈作るのだけは得意だからね。あ、あとカメラと」 すっとぼけた台詞に吹き出してしまい、宏樹さんと一緒になって笑った。 野々花先輩と和樹さんを見かけた時 の不快な感情がかなり癒されていた。 「料理は終わった?   海外の写真見る?」 「はい。たぶん和樹さん遅いし、待つ間に」   肉じゃがを保温にして、リビングで写真を見せてもらった。 さほど気になる訳でもないのだけれど、海外を旅 行したことのない私には興味深いものが数多くあった。
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