裏切りの予感ー1

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「今日は食事が不要だとメールしましたよ」 「えっ……?」   そういえば帰宅してからずっと、バッグをリビングに置いたままキッチンで宏樹さんと喋っていた。 慌ててソファーの上のバッグからスマホを取り出すと、開いてみるまでもなく、待ち受け画面の上にメッセージが表示されていた。 「ほんとだ……」 「申し訳ない」 「いえ、私がメールに気づかなかったから……こちらこそごめんなさい」   今まで和樹さんからのメールに気づかなかったことなんて一度もないのに悔やまれる。 肩を落とした私に、和樹さんはローテーブルの上を見て微笑んだ。 「兄と仲直りできたようで、よかったです」 リビングのローテーブルには宏樹さんと見ていた写真がたくさん並んでいる。
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