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『夏目の取締役は少し前に解かれていたのよ。六月の株主総会の役員名簿からお父さんの名前が消えてるの。お父さん、秘密にしたかったみたいで何も言ってなかったんだけどね』
「そう……。でも、投資銀行の顧問職は？」
『今日ね、正式に退任になったの』
「どうして急に連続で？ お父さんが望んだ訳じゃなかったんでしょう？」
『間接的に、宮瀬の融資が原因なの。宮瀬がお父さんではなく夏目社長ルートで融資を決めて、お父さんを頼る 大口客がいなくなったからよ。でも、宮瀬家を悪く思わないであげてちょうだいね。まさか連鎖で職を失うとは思わなかったんでしょう』
……違う。
和樹さんはこうなることをちゃんと予想していた。
むしろ、父を経済界から切り捨てるために融資ルートを変えたのだ。
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