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「結衣ちゃん、泣かないで」
宏樹さんにそっと肩を抱かれた。
「俺も、和樹の結衣ちゃんに対するよそよそしさは理解できない」
「宏樹さんが現れるまではもっと良かったんです」
「悪かった、悪かった」
顔を上げて抗議すると、宏樹さんは苦笑した。
宏樹さんが渡してくれたぺーパーを顔に当てる。
「これ、キッチンペーパーじゃないですか。ゴワゴワです」
「まあまあまあ」
宏樹さんのお陰で止まった涙は、次の言葉でまた零れ始めた。
「一回、本人とじっくり話をすべきだね」
「……無理です」
ゴワゴワのペーパーで顔を拭くと、頬がこすれてヒリヒリした。
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