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「明日は納車でしたね」
「そうです」
金曜日の朝食の時、和樹さんが私に言った。
忙しくてもちゃんと覚えていてくれたことが嬉しくて、笑顔で返事する。
「午前中に取りに行って、終日練習かな」
「えー、そんなハードな」
嘆くふりをしていても、本当は嬉しくてたまらない。
車の中とはいえ、和樹さんと一日中二人きりでいられるのは二週間ぶりだ。
たった二週間でも、私は彼との水入らずの時間に飢えていた。
「あれっ、結衣ちゃん車買ったの?」
そこに松葉杖の音がキッチンに入ってきて、原因の人が会話に割り込んでくる。
「そうなんです」
「意外だね。何もできなさそうなのに」
「失礼な」
真っ向から否定できないのが悔しい。
「だからそれを脱却するんです」
「ごちそうさま」
宏樹さんに答えていると、隣でコーヒーを飲み終えた和樹さんが時計を見て立ち上がる。
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