裏切りの予感ー2

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和樹さんが部屋を出て行き、続いて玄関ドアが閉まる音が聞こえた。   震える手で封筒を取る。 中には折り畳んだ薄い紙が入っていた。 それを開いた私は衝撃でよろめいた。 離婚届──   そこにはすでに彼の名前が記入してあり、捺印もされていた。 伸びやかで骨格のしっかりした男らしい字をしばらく見つめる。 同じような項目の婚姻届を書いたのは、ほんの三か月前だった。 心は血を流しているのに、来るべきものをようやく迎えて楽になれたような、諦めの感情もあった。 彼と婚約した日から、私はこの時を恐れながらも覚悟していたのだろう。 〝自由になってもらいたいと、心から願っています〟   私もあなたを自由にしてあげる。 だって、それでもあなたを愛しているから。   閉じた瞼から一筋、涙が頬を伝った。
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