いつか優しい雨になる-1

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和樹さんと別れる決意をした私は、予定を早めて会社を辞めることにした。 彼のことは恨んでいないけれど、 これからも顔を合わせるかもしれない環境にいられるほど、私の心は強くなかった。   会社を退職する意志は以前から労務部長や周囲に話していたので、退職届は何の驚きも問題もなく受理された。 手続き上、即日という訳にはいかず、有休を消化する形で、籍が完全に抜ける退職日は二週間先だ。 心残りなのは、一番大切な友人の理子ちゃんがカナダ旅行で休暇中であることだった。 きっと今頃は初めての 海外旅行ではしゃいでいることだろう。 いずれゆっくり説明することにして、私は旅行に水を差さないよう、敢 えて理子ちゃんには退職のことをメールしなかった。   宏樹さんはどうなったかというと、あの夜、私は八つ当たりのように彼をマンションから追い出してしまった。
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