いつか優しい雨になる-1

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和樹さんが出て行った後、宏樹さんは松葉杖を突きながら、呑気に寝室を覗き込んだ。 「あいつ出て行ったけど、喧嘩したの? 俺の演技、いい薬になったんじゃない?」 「……一人にしてください」 「え? ……何これ、離婚届っておい、どういうこと?」 「いいからもう一人にしてください!」 「悪かった、悪かった」 冷静になってみれば、まだ全快していないのに申し訳ないことをしたなと思うけれど、きっと彼のことだから器用にまたどこかに居候していることだろう。
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