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お風呂の中で、私たちは前回のように行為はせず、優しく温め合った。
お互いに色々なことを隠しすぎていた。
いくら話しても足らず、同じ質問を繰り返したり、その合間にキスを
交わしたり、取り留めのない時間を過ごした。
そのあとベッドに場所を変え、互いの体温を分け合うように抱き合った。
こんなに純粋に大切に抱き合う夜は初めてかもしれない。
「結婚した当初、指一本触れまいと、必死で避けてた。抱きたくて、自分のものにしたくて、少しでも結衣に近づけば自分をコントロールする自信がなかったんだ」
「私、毎晩今か今かと思って、身体を綺麗にお手入れしてました。でも空振りで、どうしたらいいのかわからなくて悩んでました」
彼の胸から顔を上げてそう言うと、和樹さんは複雑な表情を浮かべた。
「毎晩ベッドに入るのは拷問だったよ。せっかく結衣が寝た頃まで待ってから行くのに、いい匂いがする結衣が ベッドでぱっちり目を開けて僕をじっと見つめるんだから。頭の中は思春期の中学生みたいだった」
「私、ずっと待ってたのに」
あの頃のことを思い出して笑ってしまった。
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