1246人が本棚に入れています
本棚に追加
「私にとって、宏樹さんは兄なんです。昔も今も」
「うん」
微笑んだ和樹さんが啄むような優しいキスを降らせてきた。
「宏樹さんに恋したことは一度もなかったんだって……和樹さんに初めての恋をした時に気づきました」
「それはいつ?」
「……秘密です」
啄むようなキスが次第に深くなっていく。
「好き……好き」
どれだけ繰り返しても足りない。
彼の首に腕を絡め、キスをしながら囁き続ける。
「信じて」
「もう信じてるよ」
和樹さんはキスを止めて苦しそうに笑った。
「結婚当初の夜みたいだ」
「何が……?」
「手を出すまいと必死に耐えたこと。結衣を抱くようになっても、我慢ばかりしてた」
「どんな我慢?」
彼の髪に指を通し、頬や首筋にキスをする。
彼が私を欲しがっていることがはっきりわかる。
私も彼が欲しくてたまらない。
どちらが先に負けるか探り合うような、この甘い時間も好きだ。
最初のコメントを投稿しよう!