いつか優しい雨になるー2

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「玄関、開いたままだった」   ようやく泣き止むと、私は吹き込む雨風で現実に気づいた。私たちがいる土間は水浸しだ。 「……和樹さんは、どうしてそんなにずぶ濡れになっちゃったんですか?」   扉を閉め、和樹さんを部屋の中に招き入れながら尋ねた。 「百メートルほど向こうで倒木が道路を塞いでたから、そこから走って来た」 「そんなにひどい台風だったんですね」 「ここまで本当に運転してきたの?」 「はい」   胸を張ったあと、私は少ししょんぼりした。 「実は最後に気が抜けて、石垣にぶつけてしまいました……」 「そんなのいいよ。結衣が那須に行ったんじゃないかと思った時、全身から血の気が引いた。完全に失うかもしれないと思ったよ。ここまでどうやって運転してきたか覚えてない。ラジオの事故情報を聞きながら、とにかく怖かった。無謀すぎるよ」
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