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今日みたいな暑い夏の日に あなたを失った。 人間はいつか死ぬこと 神様には逆らえないこと 自分がいかに無力なのか 身をもって知った小5の夏。 幼なじみだった彼は 誰に看取られることなく 1人で静かに旅立った。 彼の名前は、佐藤優(さとう ゆう)。 生まれた頃から心臓が弱く 小さい頃は入退院を繰り返していた。 そんな彼とは 物心ついた時には一緒にいて 一緒にいるのが当たり前になっていた。 彼はいつも真っすぐで いつも笑顔で 強がりで しっかり者で ドジでバカな私の手を引いてくれる 名前通り優しくて あったかい人だった。 小学校に上がると 発作が起こる回数もかなり減り 私たちと変わらず生活していた。 嘘が上手な強がりなあなただから 気付けなかったんだ 彼の身体が… 心臓が悲鳴をあげてることに。 無理をしているのに気付いたのは小4の夏 話してくれない彼だから いつもと変わらない笑顔で接してくれる彼だから 気付いても何も出来なかった そして、その半年後に急に倒れ そのまま入院となった。 そこで医師から告げられたのは 余命3ヶ月ということだった。 誰よりも優しく 誰よりも学校が好きで 誰よりも生きたいと願っていた彼は 私をおいて それから半年後の8月に 永遠の眠りについた。
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