3/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
最後に見たあなたは 本当に綺麗だった。 たまに見られる寝顔と一緒で 起こしたら起きてくれるんじゃないかって 幸せな夢を見たんだって 笑ってくれるような そんな表情で… でも、あなたの周りには沢山の綺麗な花たち そんな花たちを入れられても 微動だにせず 触れたあなたは とても冷たかった。 綺麗な花とあなたの入った棺が焼かれても どこからか出てくるじゃないかって 「全部ドッキリだよ」 って言ってくれるんじゃないかって あの笑顔にまた会えると思ってた。 でも、あなたは どんなに想っても、どんなに泣いても 帰ってこない。 あの笑顔を見せてくれることもない 名前を呼んでもくれない あの温かい体温で抱きしめてもくれない それが死ぬってことなんだね。 あなたがいなくなっても時間は進む。 まるで何もなかったかのように 周りの人たちも いつからか前の生活に戻る。 時々わからなくなる。 あなたは本当に死んだのか…… それとも全て夢なのか…… 夢なら早くさめてほしい 何度そう思ったことだろう。 でもその思いは誰にも届かなかった。 私たちの生きている時間は 戻ることも止まることもなく ゆっくりと、だけど早く 確実に時を刻んでいった。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!