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「王宮で王妃がお待ちしております。どうぞこちらへ」
エディプスが横目でスフィンクスに動かないように合図したにもかかわらず、スフィンクスはベッドからぴょんと飛び上がると
「じゃ、行きましょう」
驚いたのは遣いの者である。
「わあ!スフィンクスだ!」
慌てて剣に手をかけるが、それを冷静にエディプスが制す。
「いえいえ、スフィンクスはもうわたしの家来で、なんにも悪いことはしないですから、心配なさらないで」
(家来?)スフィンクスは納得がいかない。
「姫君というのは?」
「それは、みなさんを驚かせないための方便です」
「ならば、一種の不法入国になりますな」
「でも、スフィンクスを退治したのは間違いないですから、ほれ、このとおり」
スフィンクスはお座りからお手をして、伏せの姿勢で恭順を示し、仔犬のような声を出した。
「くうん」
遣いの者は剣から手を放し、
「わかりました。では、お二人馬車へ。スフィンクス殿は、飛ばれますか?」
「え~っ?できれば、馬車でお願いします」
「はは!」
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