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「エディーの足には傷があるでしょ?」
「え?何で知ってるの」
「昨日風呂場で見た」
「覗いてたんですか?」
「さあ~ね~」
しらばっくれるニタニタ笑いのスフィンクス。
「どうしてその傷ができたか知ってる?」
「いえ、知りません」
「ライオス王はね、あの神託を知ってたんだよ。生まれてくる息子が自分を殺し、母、つまり妻イオカステを××するって。それで、本来スケベなのにずっとその欲求を我慢してたんだ。でも、ある日酒の勢いでついつい妻を抱いてしまった」
「ぼく、酒の勢いでできちゃったんだ・・・」
「もうしわけない。史実だからね。それでエディーがひょっこり生まれてしまうんだけど、神託があるから、ライオス王は赤子を殺そうと考えた」
「うわぁ、信じられない」
「でも、かわいいかわいいエディーのぷにゅぷにゅのほっぺを見ていると、さすがの暗愚なライオス王も殺すことができず、ブローチで足を刺した」
「なんで!なんで刺すのさ!」
「即死させずじわじわ殺すためじゃないの?」
「そっちのほうが残酷じゃないですか」
「史実だからね。そして、遠くに死体を捨ててくるように家来に命じた」
エディプスはほとんど泣きそうである。
「家来は赤ちゃんを連れてコリントスまで来たけれど、意外に丈夫で死にそうにない。ちょっと足が腫れただけ。そこでかわいいかわいいエディーのぷにゅぷにゅのほっぺを見ていると、もともと気が優しいその家来は赤ちゃんを捨てることができず、そこらへんの羊飼いにあずけたわけ。そしたら、ちょうどコリントス王には子供がいなかったから、養子にしようってことになって、エディーはコリントス王家の由緒ある血統はぜんぜんないけど、一応王子になったわけ」
エディプスはデルフォイではぐらかされた出生の秘密をついに知ったのだった。
「で、君の名前はエディプスになったんだけど、ギリシャ語でオイディプス、足が腫れたって意味だよ」
「そうなんだ。え?じゃ、今ぼくたちは何語で話してるの?」
「・・・」
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