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「ちょっとあんた!正解答えるところだったじゃないの!!」
面食らったエディプスはあとずさりしながら言葉を返す。
「だってなぞなぞに答えろっ、て言ったじゃないですか」
怪物は冷や汗を滝のように流し、瞳孔は開き、心臓はバクバク、翼をばたばたさせて叫んだ。
「あなたね、正解したらどうなるか知ってんの?」
「ここを通れるんでしょ?」
「まあ、そうだけど。正解したらわたし消えちゃうのよ!」
「消えちゃうって?」
「死んじゃうのよ!」
「え?なぞなぞを解かれただけで死んじゃう怪物って・・・」
くっくっくっ、とエディプスは笑いをこらえた。
「だってそういう設定なのよ!じゃ、なに、他の怪物ってどうなのよ!」
「そうですね、例えば王妃が牛とナニしちゃってできた頭が牛で体が人間、あ、ニンゲ・って言っちゃったけど・・・」
「それはなぞなぞの答えとして言ったわけじゃないから大丈夫。で?」
「その半分牛の怪物ミノタウロスはダイダロスの作った絶対に出られない迷宮にいて、人身御供として送り込まれた勇者テセウスにやっつけられ、テセウスはお姫様にもらった糸巻きを頼りに迷宮から出られた、とか」
「とか?あ、待って。頭が牛で下半身が人間ね?逆じゃないんだ・・・残念」
「え?何が?」
「いいの、続けて」
「にらまれたら石になるという髪の毛が蛇のメデューサは、勇者ペルセウスの鏡の盾に映った自分を見て石になって、首を斬られて、その血から天馬ペガサスが生まれて、ペルセウスは帰りにアンドロメダ姫を海の怪物から救う、とか」
「ふ~ん、なんで私だけ“なぞなぞ”なのよ?」
「知りませんよ。じゃあ、答えませんから通してくれますか?」
「旅人よ、答えられないのなら・・・・」
「答えられなかったらどうかなるんですか?」
「食べる」
「へ?」
「食べる。頭からぼりぼり食べる。ハラワタまで残らず全部食べる。おなかすいてきた」
「え?え?え?それおかしいでしょ!じゃあ答えますよ!答えは“ニンゲ・・・”」
「うわああぁぁぁ~!!!(ハアハアハア)」
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