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アツコは夫が他界し自由の身となり、一時は虚脱感やらに襲われていたが、夢の中で初恋の人と再会して強く抱きしめられ、夢だったと残念に思いながらも心地よい朝に洗面所の鏡に映る自分の顔に衝撃を受け、皺を取らなくてはと強い決意で夫が残してくれた保険金の残高を確認しながら、「ヨッシャー!」と叫びながら有名美容整形外科の扉を開けた。若い顔を手に入れた後には社会人入学の大学も考えたが、何故か突然高校生のブレザーの制服を着てみたくなった。しかし、煩い娘や御近所にはバレないように、早朝からスーパーの品出しパートを始めたと嘘をつき、受験にも無事合格し、高校の近くの駅トイレで素早く着替えて年金受給した婆から十代のうら若き乙女へと華麗に変身して軽やかな朝が始まる。しかし、入学式には親も既に他界しているのだから、何でも屋に連絡して、両親を見繕って貰おうとしたら、二人は高いので、母親だけで良いと、ケチって入学式に一緒について来て貰った。これでバッチしと思ったが、体育のグランド十周は死んでしまうと、これは生理中で腹痛ということにして、尿漏れ用に使用していた生理用ナプキンをポーチに入れることにした。少しミニのスカートも昔若い頃流行していたので、違和感はなかった。むしろ短いのが大好きだった。しかし、春、夏は良いが冬はどうしようかと悩みは尽きなかった。頻尿の恐れがあった。勉強は女子大卒であり、先生にはもう一度高校生の勉強にチャレンジしてみるためにと合意を得て合格したのだが、単にボケたくないとか頭を使うのはお肌にも良いのかもしれないと単純に考えていて、大学は今度は共学の大学も良いかもしれないし、若い男子学生に囲まれて、朝からホストクラブ通いとは異なるかもしれないが、さらに若さはキープできるかもしれないと歪んだ期待が先行していた。
入学式が終わり、通常の勉強が始まり、 休み時間の現役女子高生の会話には、なかなか入っていけずに、翻訳機を誰か発明して貰えないものだろうかと、勉強よりも悩みのタネとなり四苦八苦していたが、「父が言葉使いに煩くて、昔言葉でごめんなさい。」と声を掛けてくれた女の子達に謝っていたが、「アッちゃんて、良家の子女なんだ。」と理解して貰っていた。
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