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うまくクリアした日々が続き、このままだと無事卒業できるかもと楽観視していたが、日曜日に私服で原宿竹下通りを歩いていたら、亡夫が患っていた時期に寂しさを紛らわそうと出逢い系で、一夜を共にしてしまったアツコよりは年下だったが、高校生から見たらオッサンの男とバッタリ出会ってしまった。「アツコじゃないか?やけに若返ったんじゃないか?元気だった?」と声を掛けられ、確かに制服を脱いだ後もオバサン服ではなく、ミニスカに原宿に相応しいスタイルでいた。アツコとしては、たいしてイケメンでもなかったが、優しさで包んでくれた行きずり系の男ではあったが、あの時には一瞬でも寂しさから解放してくれたことを感謝していたし、シツコさはなく、再び一夜をとも思わなかったが、また誘われてしまった。断る理由もなく、ついラブホのベッドに身を沈め、女子高生の身を忘れて重なってしまっていた。感動と言えば「若いね。」と囁かれた言葉に酔いしれていただけだったかもしれない。もう夫は居ないのだから後ろめたさもなく、これからも交際を続けるのかも考えずに、今、こうしたかっただけのひと時がベッドの上だったのかもしれない。彼は既婚者なのかもしれないし、そうでないのかもしれなくても、再婚したいと言う思いもなく、メルアドも電話番号も交換することもなく、「さよなら、楽しかったわ。」とだけ囁いて別れた。そしてまた明日からの学校生活が待っていた。帰宅してから「宿題やるの忘れてた。」と思わず叫び、焦りを感じていた。翌朝学校で大変な事になっている事も知らずにカレシのことは、もはや脳裏には存在することもなく、学校の準備をして、目覚まし時計をセットした。夢に何故か亡夫が現れて意味不明に怒っていた。
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