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エピローグ
美咲と親友の涼子は駅前の居酒屋で二人だけの女子会を開いていた。
「美咲、この頃、あのDV夫、見かけないけど」
「別れたのよ、やっとね」
「おめでとう。でも、よく別れられたよね」
「一発、ガツンとね、やってやったのよ。これでね」
美咲はテーブルに置かれたビール瓶を指さした。
「なんで、そんなことに・・・」
涼子は暴力とは無縁の美咲の快挙に驚きを隠せなかった。
「あいつが、あたしの母の形見まで取り上げたから」
「しかたないわね。でも、大丈夫だった。あんたも、あいつも」
「死んではないさ。でも、記憶が一日しかもたなくなったらしい」
「ひどい奴だったけど、そんなことになるとはね・・・」
「本人はそうでもないみたい。
オレが地球を救うんだって、あたしの母の腕時計に毎日語りかけているみたい」
「あの動かない時計の何がいいのかねえ」
「自分と一緒で、時間が止まっているってことじゃない」
(完)
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