挽歌

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翌朝8時半頃のことでありました。 毬村の家の大広間には、喪服姿のちづると数人の漁師の奥さまたちがいましてグスングスンと泣きじゃくっていたのでありました。 密漁船と衝突をした漁船は、芳信が所有している漁船で、芳信と漁師さんたち数人が海に投げ出されて行方不明になってしまったのでありました。 夜明けになりまして、芳信の片方の腕がバラバラになっている状態で発見されたと言う知らせが入りましたので、悲しみがさらに深くなっていました。 「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」 「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」 この時、台所では菜名と亜希子が大広間にいるちづると奥さまたちにお出しするお茶を入れていましたが、亜希子はものすごくさめた目つきで大広間に居るちづるをみつめていたので、ちづるに対する不満を口にしようとしていました。
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