【特別書き下ろし】憾婚(いこん)

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また時は流れて… 2021年1月6日頃のことでありました。 智太郎は、東京から逃げ出したあと東海近畿から中国地方にかけての各地を転々と逃げ回っていましたが、その間に寸借サギをくり返していたようでありました。 逃げて逃げて逃げ回って、北九州の折尾に着いた時にはダラクの度合いがひどくなっていました。 時は、夕方5時50分頃のことでありました。 場所は、JR折尾駅の南東側北鷹見町にあります商店街の通りにて… ものすごく派手なシャツとブカブカのジーンズを着ていて髪型も性格もチャラい姿の智太郎は『このままだと借金とりだけではなく、ケーサツからも追われてしまう…大急ぎで原資の700万円を作らないとどえらいことになってしまう…』と想いましてあせっていたのでありました。 その時でありました。 通りに立っていた派手なシャツを着ていた男が智太郎に声をかけてきました。 派手なシャツを着ていた男は、2019年の夏に今宿の実家を時限爆弾でふっとばしたあと北九州の極悪非道のヤクザ組織の見習い構成員になっていた毬村重房でありました。 智太郎は、重房から『キンカイ(金)を買わない?買っておいたあと、価値が上がれば超高値の相場で買い取ってくれるよ…』と言われましたので、700万円の借金を返すことができると想いまして、重房の誘いに乗ってしまいました。 このあと、重房は智太郎を連れて商店街の露地裏へ無理やり連れて行きました。 行き先は、ヤクザのたまり場になっているマージャン店でありました。
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