【最恐小説】挽歌

【特別書き下ろし】憾婚（いこん）

「２年前の全国放送のテレビ番組が原因で、本村（うち）の家がどなな想いになっていたのかがあんたはわかってへんみたいね…あんたは本村（うちのいえ）を恥さらしにする気なのかしら!!」
「わしらがいうている言葉が聞こえんのか!!」

茂吉夫婦が強烈な叫び声をあげて智太郎をイカクしていたので、智江水は泣きそうな声で智太郎にこう言いました。

「智太郎!!あんたが起こした借金のトラブルが原因で姉さんがどなな想いになっているのかわかっているのかしら!!」

智太郎がだまりこんでいたので、智江水はワナワナとくちびるを震わせて、血液が混じっている涙を流しながら智太郎にこう言いました。

「智太郎!!あんたのせいで義兄（にい）さんは４月１日からは得意先の会社に出向しなさいと職場から言われてしまったのよ!!それはどういうわけなのかわかってはるのかしら!!義兄さんは、それまで任されていたお仕事を取り上げられてしまったと言うことになるのよ!!義兄さんのお給料が半分以下に減らされてしまうのよ!!わかっているのかしら!!」

智江水の言葉に対して、智太郎がなおも反抗的になっていたので、茂吉は智太郎のこめかみを激しい力を込めてグーで殴り付けました。