【特別書き下ろし】憾婚(いこん)

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しかし、智太郎の借金が原因で智江水夫婦の家族はせっかく手にした家族の夢をあきらめてしまったのでありました。 智江水夫婦の家族は、市内の別の場所に家族が暮らす一戸建ての新築の家ができたので、実家から新築の家に引っ越しをする予定であったのに不動産屋さんが暴力団関係者と土地の所有権のことをめぐってトラブルになってしまった上に不動産屋さんが暴力団からのオドシに屈してしまったので新築の家に引っ越しをすることができなくなりました。 2人の子供たちが智江水夫婦に『いつになったら新しいおうちができるの?』とヒンパンに聞いていたので、智江水夫婦はそのたびに苦しいいいわけをならべ続けるより他はありませんでした。 その上に、紀世彦は職場で任せられていたお仕事を取り上げられて、新年度からは市内の別の場所にある得意先の会社に出向を命ぜられたのでありました。 この時、紀世彦は職場の上司に対して『ほんならやめてやる!!』と言いまして上司の机ににぎりこぶしでドスーンと叩いてやめてしまいました。 その後、出向で行く会社に転籍をする形で再就職をしましたが、紀世彦は想うとおりに働くことができずに苦しんでいました。 智太郎の借金が原因で、紀世彦の妹・ほのかはお見合いをしても断られてばかりがつづいていたので結婚をあきらめてしまったので、茂吉夫婦はものすごく困り果ていたのでありました。 その上に、紀世彦は気に入らないことやイラついている時は智江水に八つ当たりをくり返していたので、夫婦間に大きなミゾが生じてしまったのでありました。
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